第3章 オーロラの下でやっちゃいました

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 疲れさせたのは俺だから、文句は言えないけど。風邪ぶりかえしても困るし。  珈琲を買って飲んで、甘いお菓子を適当に買って部屋に戻り、夏鈴の寝顔を見ながらのんびり過ごした。  明日、やっと帰れる。楽しいんだけど、そろそろ日本食と我が家が恋しくなってきたな…。      *  旅の終わりはサンタクロース・エキスプレスに乗ってヘルシンキまで移動となる。これは寝台車だ。つまり、もう一泊するということ。長い旅の最後に丁度いいアトラクションだと思っていたが、揺れる列車の中で寝るのは案外コツが必要かもしれない。レールを走る音と揺れに慣れさえすればいいんだけどな。  ロヴァニエミのショッピングモールでウロウロするのも疲れて、俺達はファーストフードの店内で喋って過ごした。荷物を増やせないという縛りがなければ、服や靴を買っても良かったけど。  夏鈴はウインドーショッピングだけでも楽しいと言って喜んでいた。トナカイの角がついたハットを見つけて俺に被せたがったり、ブックケースぐらいならと自分達用にお土産を選んでいた。  なんとかデカいスーツケースに収まってくれて、ゴロゴロとそれを引き連れての旅だから。移動している時は「旅行しているんだな」っていう気分になる。用意してきたキャッシュもそろそろ終わりそうだ。
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