第五話 小説

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 俺って、ゲイなんだろうか。男とも女とも付き合ったことがないから未だにわからずにいる。たまに頭がぐちゃぐちゃになって、同性愛で検索すると、「『性』はグラデーションです。『同性愛者』『異性愛者』とはっきりしている人は案外少なく、グレーの人も多いのです」という慰めの言葉にいつもぶち当たる。   たしかに俺は、グラデーションのまさにグレーの部分にいるだろう。心が真っ白な川上みたいなのや、自分たちが同性愛者の当事者として結婚式まで挙げるカップルが、珍しいってのはわかる。わかるけどさ。  あなたの悩みはよくありますよ陳腐ですよと告げてくる、グラデーションのグレーは、俺をますます息苦しくさせる。  俺はずっとこのグラデーションのグレーの部分をのたうち回るんだね。ずっと。陳腐な悩みで悪かったな。 
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