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第四話 プロット
「俺の、何が好きなの」
「鬱屈としてるとこかなあ。勉強も運動もできて見た目もいいのに、何もかも揃ってそうなのにつまんなそうなとこ。なにが不満なのか気になっちゃって。結局、川上くんが手に入らないからよね。東村くんが機嫌悪いのって」
俺は黙ってしまった。川上のこと好きだけど、そこまでじゃない。恋人になりたいと思ったわけでもなし……と思ったけど、俺は、たしかに心の隅の方を照らさないようにしているような違和感を感じた。
俺が、望んでることってなんだ?
「あ、そろそろ川上くんの部活終わるんじゃない?」
俺は慌てて帰り支度をした。緑子も同じように帰り支度を始める。
緑子が部室の鍵を閉めて、職員室に向かおうとした。俺はいつもこのあと昇降口に向かうから緑子とはここで別れる。
「緑子」
「ん?」
「その、ごめん、好いてくれたのはありがたいけど、俺は、緑子とは……」
「わかってるよ。 余計な気使わなくていいから、明日からも部活来てよ?」
「ああ」
俺は昇降口に向かい、いつものように川上を待った。なにも考えたくなくて、イヤホンを付けて、スマホから適当に音楽を鳴らした。
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