2 格差

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 佐倉さんの話だと、こうだった。  玲奈ちゃんは、私たちの関係を昨日まで知らなかった。ここに来る途中、偶然再会した共通の知り合いから、私と橘君の関係を聞いてしまった。 「私との関係って……」 「橘君は先生との密会を、周りの男友達に自慢げに話していたみたいですよ」 「そうなんだ……」  私はうなだれて頭をかかえた。  十四歳年下の橘君は、有名漫画家という私のステイタスに憧れ、その特別感と贅沢さを楽しんでいただけなのだろう。そこに恋愛感情がないのはわかっていた。  それなのに、裏切られた気持ちになるのはなぜ? 初めから、私たちには何もなかった。彼との未来なんて望んではいなかった。彼を咎めることなんてできない。 「橘君にとっては、玲奈ちゃんはただのきれいな先輩でしかなかったけれど、玲奈ちゃんにとっては違ったみたいですね」  佐倉さんは静かな口調で言った。  馬鹿なことをして玲奈ちゃんを傷つけた。そして失った。その代償はとてつもなく大きい。
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