3 スランプ

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「ここのミドリの台詞。ちょっと、いくらなんでも異常だよね。これじゃホラーだよ」  須藤の言葉が、頭に入ってこない。  情けない。そんな思いで、マグカップの中で揺らぐコーヒーを、ただじっと見つめた。 「先生、顔色悪いですよ。今日はゆっくり休んでくださいね。これ、カフェインレスですから」  佐倉さんが心配そうに言った。 「カフェインレス?」 「先生、眠れてないですよね」 「だめだよっ! こんな状態で寝てどうすんの?」  思わず、声を荒げてしまった。佐倉さんが、「すみません」と慌ててマグカップを下げようとした。そこで、はっとなった。 「ご、ごめんっ。ごめん、サクちゃん」  私は佐倉さんの手から、カップを奪うように取った。 「ついイライラして、ごめん。こういうの嬉しい。ありがとう」  慌てて取り繕ったが、遅い。佐倉さんの目には、涙が浮かんでいた。気を遣ってくれた佐倉さんに、なんてひどいことを言ってしまったんだろう。  最低だ。
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