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「勝手なのはわかってる。でもお願い。あと一話だけ、なんとか頑張るから、それでこの連載は終わらせて欲しい。本当は今すぐにやめたいくらいなの。どうか、お願い! 須藤さんなら、なんとかできるでしょ?」
実は須藤は、今年の春から副編集長になっていた。私の担当に戻ってくれたのは、単に私のわがままからだ。
「なんとかって……、簡単に言わないでよ。そんなわがまま聞けるわけないでしょ。それに先生の作品は、昔と違って、単純なギャグ漫画ってカテゴリーじゃないんだから。そんな強引に終わらせたら、ファンが納得しないから」
「どんな最終回だって、それを納得するファンなんていない」
「あ、それはそうなんだよね。そもそもファンだから終わって欲しくないもんね、って違うでしょ!」
「ノリツッコミ上手くなったじゃん、須藤っち。さすが出世頭」
「まったくもう。困ったなぁ」
「違約金が必要なら払うから」
「そこまでしてでも描きたくないと」
「面白くないもの載せるくらいなら、そっちの方がいい」
私は俯きながらも、そう力説した。佐倉さんが真剣な顔で、「先生も崖っぷちなんですね」と言った。
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