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しかし、その日のパパは違った。
「娘より、あんな訳の分からないオカマのほうが大事だっていうのか」
私は耳を疑った。パパがそんな差別的な発言をするなんて、驚きだった。
途端、穏やかだったママの表情が強張った。そして、
「そりゃあ、夏芽の方が大事に決まってる。でも誕生日は毎年くるけど、結婚は基本、一生に一度しかないから」
と冷静な口調でパパに言い返した。確かに正論ではある。
パパはそんなママを冷たく睨んだ。
「本当は、結婚式の準備じゃなくて、男と会うのに忙しかったんだろう？」
パパのさらなる衝撃発言に、ママが明らかに動揺した。もちろん私も。
「結婚パーティーは、本当だよ……」
ママが口ごもるように言った。
すると、その言葉を聞くや否や、パパはつかつかとママに近づき、右手を高くあげた。
「あっ」
私は小さく声を洩らした。
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