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「うわっ! すごく可愛い!あんた!どうやって口説いたのよ!」
いきなり大きな声を出した楓に驚いた顔をしている美少女に私は、綺麗なお辞儀の姿勢を取り、
「こんにちは、先程は手短な挨拶で失礼しました。私は椎名 楓と申します。どうぞ楓ちゃんと呼んでください以後お見知りおきを」
と挨拶をすると美少女はポカンとしていた顔が我に返りニコッと頬を吊り。
「こちらこそすみません 驚いてしまって
私は 河田ミワと言います。あ、えっと、みミワちゃんって呼んでください? 」
「んかわいい〜!!」
まるで天使のような笑顔を浮かべる彼女に楓は思わず抱きついた。楓は「これはお近づきならなければ」とその後、ミワの隣に座りあれこれ話しをした。
智也は一人重いため息ひとつと頭を痛そうに抱えていた。その様子に楓は気づかないふりをしてズイズイと話をかけた。
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「ねぇねぇ 明日 お昼も暇なんだけどミワちゃんに会いにまた来ていいかな?」
数時間後、楓とミワはすっかり仲良くなった。
遠くで智也は胡座をかいて不服そうな顔で楓に「来るな来るな」と口パクをしていた。
「うん! よかったらまた会いたいな!」
とミワは微笑む、楓はギュッとミワに抱きつき、ミワの頭を撫で回す。いっそう智也のミケをにシワが寄った。
「あれ?楓ちゃんなんかいい匂いがするね」
くんくんとミワは楓の匂いを嗅いだ。
「? そう言えばさっきお爺さんにも言われたな。普通の柔軟剤なんだけどな~」
そう楓は匂いを嗅がれて気恥ずかしそうに頭をぽりぽりとかいた。
そこに、智也が割り込んでいき、
「ストープ、終わりいつまで抱き合ってんだよ それにもう六時だぞ」
「本当だー もうこんな時間かぁ~、じゃあ私用事あるから帰るね~ お邪魔しました。」
そう言って玄関へと向かって行く楓に智也は「帰れ帰れ」と小さく呟いていた。
楓はその様子にニヤッと不敵な笑みをしてウィックを送りグッと親指を立てた。
それに続き、智也は親指を下に立てた。
楓はちぇっ、とわざとっぽく舌打ちし、お返しと言わんばかりにミワに向けて投げキスを送る。
ミワはそんな楓の様子に顔を真っ赤にしながら小さく手を振った。
地味に独占欲の強い智也は楓の策にまんまとハマったようで顔を険しくして楓を恨めしそうに睨んだ。
(相変わらず独占欲が強いみたいだけど、
あいつ、女に彼女取られるとか思ってんのかな?)
逃げるように隣の自宅に戻ると壁をゴンッと言う大きな音が鳴り響いた。
きっと智也が壁ドンでもしているのだろうかと楓は小さく笑った。
こうして「いい匂い」と言う謎の単語と共に今日一日が終わったのだった。
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