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楓は幼馴染の家のチャイムをこれでもかと連打し、
「智也~~!!!!」
大声をあげた。すぐに顔を出した智也に楓は飛びつくようにしがみついた。
「うぇ、 んだよ きめーな」
智也は嫌そうな顔をし引き剥がそうとするが、楓は必死に離してなるものかと強く抱き、家の扉を閉めた。
「てか、お前なんて格好してんだ 靴と鞄どこにやったんだよ」
なるふり構わず走っていた為か、靴は道端に鞄は玄関の外に忘れてしまっていた。
しかさ、今の楓にそんな事を気にしている余裕はなかった。
「た 助けて」
智也の質問に答える事なく、楓は智也に助けを求めた。智也は楓のおかしな様子にめんどくさげに頭をかき。
「んー?また なんかやらかして不良にでも追いかけられてんのか?」
何も答えることができずそんな問いにただ頭を振った。楓はそっと右手でずっと握りしめていた黒い手紙を智也に渡した。
「あ? 不幸の手紙か?」
と言って手紙を読み始めた。
「………『貴女に助けられた日、私は運命という言葉を知りました。貴女の甘美な香りに私は夜も眠れません....私はあのひと時で貴女を心から愛してしまったようです。貴女にはぜひ私の運命の番たなって欲しい、そして、貴女の血汁を飲み干した暁には貴女は私の番として.......午後5時に貴女を迎えに来ます』....
うわっ...きめぇ、ストーカーかよ。お前何したんだよ」
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