プロローグ

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 扉を開け、心の中でだけ「行ってきます」を唱えて、玄関扉に施錠。  本当に、いつも通りの日常だ。あまりにもいつも通り過ぎて、頭が痛くなってきそうだ。  鍵を掛けて振り向けば、割と人通りの多い道路がある。  ここに住み始めて結構経っている所為か喧噪にも慣れてきている。  窓を開けっぱなしにしていても充分に寝られる程度には。  良いことなのかどうかは、よく分からない。  世界は何かを中心にして回っているようで、結局世界自身が中心になっている。  そんなことをガラでもなく思ってみる。  大きく伸びをしながら目抜き通りと、その上に高く広がる空を見る。  これもまた、いつも通りの光景だ。  自転車。  絨毯。  バス。  箒。  タクシー。  モビルスーツ。  いろんな手段があるものだ。  そんなことを思いながら、 「よ。おはよう」 「おはよう、シェーン」  いつも通りに迎えに来たミクリと挨拶を交わし、通っている学校へと歩いて向かうのだ。
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