プロローグ

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 わいわいぎゃーぎゃーと楽しそうな声。  全力で駆け抜けていく小学生の群れに流されそうになりつつ歩く通学路。  雲一つ無い良い天気だ。  歓声は空高く飛んで溶けていく。  ここから通える範囲の小学校は1キロは無いはずだ。  しかし、それでもあれくらいの子たちにはなかなかの距離であるはずだ。  元気なモノだ。  あいつらは、あのまま学校まで走りきっていくのだろう。  ――オレも、最初はああだっただろうか。  オレたちはそんな彼らを横目に見つつ、ゆっくりといつも通りの速度で歩を進めていく。  いわゆる中高一貫の教育学校。それがオレたちの通っている学校だ。  今横を歩いているミクリ――ミクリ・サザナミは5年目。  オレ――シェーン・グランツは、諸事情により編入生としての入学だったため4年目になるだろうか。  学年自体は同じ。オレたちは同級生だ。  それでも通い慣れた道だ。もしかすれば、目をつむったままでも歩いて行けるかもしれない。
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