プロローグ

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「シェーンは、今年は大丈夫そう?」  不意にミクリが訊いてくる。  何のことを訊いてきているのかは、だいたい解っている。  解っては、いる。いるのだが。 「……わかんね」 「ええー……、そんなぁ。今年こそ一緒にできるって期待してるんだよ?」 「勝手に期待されてもなぁ……」  やる気の無い返答を許してくれないミクリ。 「それにしたって、まだ時間はあるだろ?」 「昨年も一昨年も、この時期のキミはそう言ってたよね?」  急所襲撃(クリティカル・ヒット)。  ヒトの痛いトコロを付いてくる。 「……それで? 昨年、一昨年の結果は?」 「……はい、スミマセン」 「心がこもってないぞ?」 「……申し訳ございません」  そこまで期待されても困る。若干コイツの期待は重いのだ。オレのことを買ってくれているのはわかる。わかっているつもりなのだが。  ――話は変わるのだが。  聞いた話に依れば、『三度目の正直』とかいう言葉がどこかの国の諺として在るようだが、自分だけで決定できるような物では無い。これは他者とも関係する『試験』なのだ。簡単には行かない。  そして、調べてみれば『二度あることは三度ある』と言う言葉も、その先ほどの諺とともに存在しているという。  なんだそれ、と思う。ダブル・スタンダードじゃねーか、とも思う。  いい加減なことぬかしやがって。  ――閑話休題。
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