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プロローグ
陽の光がカーテンを掛けていない窓から入ってくる、いつもの目覚め。
自分の顔に纏わり付いている少し長くなった黒髪を、首を振りながら無造作に払った。
欠伸をひとつ。――いや、ふたつ。
いつもより少し眠りが浅かっただろうか。そんな気はしていない。
夢は、いつも見ないのだ。
布団を軽く直して、肩、首をぐりぐりと回す。
こうしている間に徐々に意識が覚醒していく。
いつも通りに簡単な朝食を摂る。ハムサンドとカフェオレ。
作るのと食べるのをほぼ同じような時間で終わらせてしまう。
いつも通りに歯を磨いて顔を洗う。
気付けば洗顔フォームが少なくなってきていた。
帰りにでも買ってくる必要があるかもしれないが、何とか週末まで保ちそうな気もする。
そもそも放課後には、そのことすら覚えていないような予感もある。
とりあえずは保留だ。
最低限、雑にならない程度に身支度を調える。
忘れ物が無いか、今一度確認。
――大丈夫そうだ。
少なくとも財布だけ突っ込んでおけば、それで十分だ。
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