第一章 俺は一回死んだ

2/3
前へ
/3ページ
次へ
俺は考えた。 何かに繋がる鍵はないかと、俺は見回る。そーだ!俺はまだ幽霊歴2時間だから、いろいろと知らないことだらけだ。俺の他にも幽霊がいるはず、そいつを探して、幽霊について聞いてみよう。分かんないものは、人、いや幽霊に聞くのが一番だ。その後、町全体は周ったが、なかなかそれらしいものは見つからない。このとき俺は、なんとなく世界の広さを理解できたような気がした。 俺が諦めようかと思ったその時、 「おーい、お前、もしかして幽霊?」 誰かが呼んでいる。宙に浮いていたので向こうも幽霊か。ま、二十前半の男って感じか。俺は答えた。 「そう、幽霊になったばっかりだ。」 「新米幽霊かよ。」 「幽霊ってタイムスリップできるのか?」 そいつは笑った。 「できるわけねーだろが。幽霊はただの空気みたいなもんよ。だから、空飛べたり、すり抜けたりできるがか。馬鹿だな、お前は。」 俺は言った。 「空気?それは違うな。空気って考えたり、しゃべったりできないだろ。」 そいつは言った。 「新米のくせに生意気だな。殺してやろうか?」 俺は言った。 「幽霊だから、もう死んでるぜ。」 どこかで見たことあると思ったら、その男は殺人鬼だ。一昨日、ニュースで見たような気がする。男はこちらを睨んでいる。 その時、俺たちに前に黒い渦が現れた。それは竜巻のようで、幽霊をも飲み込む、未知のものだった。 「なんだこれ、お前のせいだぞ!!新米!!くそー、死にそうだ。」 「だから、もう死んでるって。」  こうして、俺のもう一つの物語が始まった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加