第一章 俺は一回死んだ

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第一章 俺は一回死んだ

俺は今、雲の上にいる。 北風が俺の耳をなでるように吹く。辺り一面、雲が浮かんでいる。それにしても空からの景色はなかなか良いものだな、あんなに大きかった校庭も豆粒のように小さく見える。ここは、なんとなく気が楽だ。雲もフッカフカで気持ちいいし、一生このまま、ここにいたい。 なーんて思うか、俺には未練がある。やり残した事が山ほどあったのだ。あれもそれもこれも、未練だらけだ。なぜなら俺は昨日、死んだのだ。大型のトラックに跳ねられて、死んでしまったのだ。 俺の人生はたったの十五年半だった。ふと気が付くと幽霊になっていた。もう数時間は経っただろうか。ここから先、俺はどうすればいいのか。 こんなとこにいると、人の温もりを忘れそうだ。もしも俺がどこかの魔法使いや、異世界の神様なら、時を戻して、俺が死ぬ前にいって、事故を止めてやるのに。こんなことに無かったことにしてやるんだ。俺は変えたいんだ。 未来は努力すればいくらでも変わるが、過去は変わらない。タイムマシンは?そんな漫画みたいなことあるわけ...いや、待てよ。俺は幽霊だぞ。壁だってすり抜けれるし、空も飛べるし・・・もともと幽霊の存在を信じていなかった俺にとってはもう何でもありだ。それなら、時ぐらい戻せてもおかしくないよな。少しは希望が湧いてきた。あっ、でもどうやって時を戻すんだ?幽霊だからって時は戻せないだろ。しまった、プラス思考すぎた。  こんなこと考えている間に時は刻一刻と過ぎていく。
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