第1章

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「もういいよ。無理して一緒にいなくていいから」 なんて、そんな言葉が言えたらどんなに楽だろう。 俺はこの言葉を言えないままずっともがいてる。アイツと俺の部屋には、俺じゃない奴の声が聞こえる。 「はっぁ…る、るいぃ」 やめて。アイツの名前を呼ばないで。俺の恋人だ。 「んっ…イっていいよ。りな」 やめて。俺以外の名前をそんな風に呼ばないで。俺の恋人でしょ? 「あっぁあ!イく!るいっるぃいい!!」 「うっ…俺も、一緒にイこ、りなッはっ」 やめて。やめてよ…もう耐えられない。苦しい。助けて。なんで浮気するの?なんで女とするの?やっぱり女がよかった?体が固くて、可愛くなくて、短い髪の俺じゃダメだった? 吐き気が止まらない。トイレに駆け込みたいけど、行くにはあの部屋を通らなければいけない。とりあえず外の空気を吸いたくて、大きな音を立てながら外へ出た。
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