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「まきじゅん先生、もしかしたら僕たちと同じくらいの年齢かもしれないね」
「え」
いきなり現実に引き戻され、玉城は真顔になる。なぜだ、どこでバレたんだ。
「その、僕みたいに本は読んでいても、実際の経験はないのかな、って……」
「経験……」
「あ! ごめん、忘れて! 僕、何言ってんだろう」
驚くべきことにその予想は大きく当たっている。まきじゅんの中の人である玉城は恋愛の経験なんて皆無だ。幼少期から少女漫画を読み漁ったおかげで脳内経験値だけは高いが、女性と付き合ったことなんて一度もない。そもそも友達が以下略だ。そんな自分と三田村も同じだという共通点に嬉しくなる。
いや、それよりも今は三田村の言うとおり、二人のことを考えなくてはいけないのではないだろうか。まきじゅんとしてボーイズラブ漫画を描くからには、もう少しボーイズがラブするその先のことを知る必要があるのではないか。
「三田村」
「な、なに?」
「この本借りていいか? あと、他におまえがすすめるボーイズラブ漫画を教えてくれ」
「うん、それは……いいけど」
「ただし、話の中で男同士がセックスしてるやつを、教えろ」
玉城の表情の真剣な表情に、三田村は驚きつつも頷いた。
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