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天使の笑顔を持つ三田村涼の気持ちを知った。自分もずっと好きだったことを伝えた。三田村の腰を自分に引き寄せる。初心者らしく、キスがしたいと相手に伝えて唇を重ねた。唇が離れると、これは夢かもしれないと不安になって、これは本当に現実なのかを確かめるかのように、何度も唇を重ねた。時には三田村から顔を近づけてくることもあった。
初めてのキスに夢中になって、肝心な言葉を伝えるのを忘れていた。
「付き合ってほしい」
セオリーどおりの言葉だったが、三田村は俯きながら答えてくれた。
「喜んで」
これで、正真正銘、自分たちは恋人になったのだ。
***
「……」
「……」
部屋に沈黙が流れている。
さて、二人の気持ちが通じた。抱き合った。キスをした。付き合ってくれることになった。恋人になった。ここまでは、少女漫画で読んだことがあるから知っている。
――このあと、どうすればいいんだ?
目の前の三田村は、恥ずかしがっているのか、俯いたままで微動だにしない。結構な回数、キスした気がするが、またキスしてもいいのだろうか。
しかし、キスってどうしてあんなにも幸せな気持ちになるのだろう。恋人同士っていつでもどこでも何度でもキスしていいんだっけ。なんという贅沢な関係なんだ。というか、恋人というのは、キスより先のこともしていい関係なのではないか?
いや、決してそういうことがしたいというわけでは……と慌てて脳内の自分に言い訳をしてしまう。
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