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僕らの世界はみなさんの一部であり、小さい人から大きい人、そちらの言葉で綴ると老若男女でしょうか、そういった人たちがあまねくご覧になって下さるものの中に潜むものなのです。「む?よくわからないぞ!きちんと説明しろ!」とおっしゃられることでしょう。そうでしょう。僕ももしこんな出だしで始まる説明があろうものなら、堪忍袋の緒が瞬く間にプッチンと切れて、初手詰みでありましょう。
なので端的に説明すればですね、僕らはあなた方の思い描く物語や見てくださるドラマなどに出るアクターやアクトレスなのです。
「じゃあ君たちは私たちと同じじゃないか。なんで別の世界みたいに話をするんだい?」とおっしゃるかと思いますが、僕らはみなさんが考えるようなアクターやアクトレスとは、全然違うのです。
僕らには僕らの世界があります。みなさんにはみなさんの世界があります。そう、違うのです。僕らとみなさんは違うのです。僕らは普段僕らの世界で生活し、いつも演劇やスタントの練習に精を出しているのです。そしてみなさんが漫画や映画や小説を読むときに、はたまたみなさんの頭の中に描く空想の中に、ひょこっと顔を出しては、練習の成果を発揮するのです。
みなさんと僕らの接点は、そこにしかないのです。それ以外の僕らは仮の姿をしてます。みなさんと接点を持った時、目いっぱい変容して、それでめいっぱい演じる。それが僕らの生きがいなのです。仕事でもありますが。
僕の家はわりとちゃんとした家系で、母も父もちょっとは名の知れたアクターとアクトレスなんです。そのくせ僕はというと、さしてこれといった取り柄もない人間なのです。
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