1.初めまして、みなさん

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 だって、わかるじゃないですか。良いものが良いとは限らないんですよ。特にこういった曖昧な世界では。上手いからって言い訳でもないし、下手だから人気がでない訳でもない。ほんと曖昧なんですよ。だから成功した人気者という事実だけが重要なんですよ、世の中。僕の演技が上手いかそうじゃないかなんて関係ない。あいつは人気者で、僕は影。ただその事実だけなんです。  この日。そうこの日なのです。私がまるっきり変わってしまったのは。彼の光はさらに輝いて、僕の影はより一層深まりました。  たぶんほんの少しのことなんですよ。アレルギーと一緒で、ある限界を超えた瞬間にもう駄目になってしまう。負の感情はそういうものです。  教室に入ってからも僕は席に座れませんでしたね。なにせ彼の野次馬が殺到してしまうんですから。彼が学校に来る日、たぶんだいたい週に2日くらいですかね、その日はもういっつもこんな具合なんです。     
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