一人娘の妹

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一人娘の妹

《くぜちゃん、くぜちゃん! 一人娘のあんたが妹を連れて、井戸に飛び込んで焼け死んだよ》  今までのことを時系列でまとめる久瀬は、人差し指の爪を噛みながら、丸い目を軽く伏した。いろいろなことが在りすぎて、脳が混乱していた。 ・中国四大伝説の一つ、白蛇伝の話で盛り上がる。 ・論とかいう体裁の滅茶苦茶な二次創作を送り水樹を怒らせる ・けど先ほど送られた謎メールで事態が呑み込めていない。  ――こっちだって、何を言えばいいのか判んないのよ! えっと……あー、もう、言葉にできないじゃない!――  【くぜ】は、生来こういう微妙なところで論点がつかめない。ちっがーう! と叫びながらガリガリガリガリとシャーペンを動かす。消しゴムは横にあったが、ミスはシャーペンで荒く塗りつぶした。  【ミズキ】の性格自体は、決して良いとは言えない。だが、本気の文章――論文形式のものに限る――に関しては、ちゃんとマトモなだけまだマシ。【くぜ】は続きを読み進める。その間にもう一件着信。開けば 《目ぇ覚めた? ごめん、流石にギョッと……》 ――した。  かなり離れたところに、続きが打ち込まれている。     
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