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気だるい朝。昨日はクラスメイトが数人死んだ。それは今の世界じゃ当たり前であって、死を選択したクラスメイトに死別の悲しみを持っていいのかさえ悩む。
俺が生まれたときには、もうそんな世の中になっていたらしく『死』とは悲しいものなのかどうかがニュースキャスターたちがテレビの画面の中で毎日のように議論している。
小学校にあがるときにこの国の子供たちはある権利をもらえる。それが安楽死の権利であり、肉体を痛みなく溶かしてしまうカプセル『とける』を一定の期間ごとに受け取る権利だ。
世の中にイヤになったから。いじめに耐えきれないから。貧乏はイヤだから。理由は様々。
俺が生まれる少し前に尊厳死というものが話題になったらしく、その成れの果てがカプセル『とける』の権利。
小学校に一緒にあがったクラスメイトが四十人近くいたら、小学校を生きて卒業するのは十人に満たない。
そんな世の中だけど今はうまく回っている。結局苦しみや痛みに耐えられる人だけ残るのだから。
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