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「なあそれ、どーなってんの?」
寒空の下、嬉しそうに街を歩く女の子に声をかけた。
彼女が手に持ったお菓子は、さっき自分が街角の評判の店で買ってきたもの。
逢うなり「あれ買ってきて!」と言われたときには面食らったし、大人しく買ってやった自分もどうかと思う。
だけど、お菓子を手に街を歩く彼女の顔は、曇天から一瞬射し込んだ陽の光のように明るく綺麗で、妙な出会いであることもうっかり忘れてしまいそうだ。
何を問われているのか理解したらしく、彼女はさらに愉快そうに笑った。答えてはくれないのだけど。
周りをくるりと見回しながら、美味しそうにお菓子を頬張る。そして一通り食べ終わると、
A「付き合ってくれて、ありがと!美味しくて、楽しかった!」
B「別に……」
お菓子を買った以外、何もしてない。そう言う間もなく、にこっときれいに笑うと彼女はすうっと消えていった。
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