第1話 揺さぶられる感性

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芸大と言うと頭がいいと思われるようだが、それは一部の人間だけで、少なくても私は、その類ではなかった。 寧ろ小さい頃から絵が好きで、高校も美術部だったせいか、顧問の先生に『芸大でも入ったらどうだ?』と勧められて入学したようなものだ。 困ったのは芸大に入ってからで、周りの人達は油絵を描く才能に、溢れているばかり。 絵が好きだと言うだけで、芸大に入った私とは、全く違っていた。 「あーあ。どうしたらみんなみたいに、描けるんだろう。」 一人ため息をついていると、友達の真子がクスリと笑った。 「私から見たら、万紘も才能あると思うよ?」 「えー。全然だよ。見てよ、この色使い。リアリティがないわ。」
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