第1話 揺さぶられる感性

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何度も何度も塗り直しても、私の絵は芸術に程遠い。 もっと絵から湧き上がる情熱とか、ため息が出る程のリアリティとか、そんな物がほしい。 そんな私は、授業が終わっても、自分の絵に納得できなくて、放課後も油絵を描く時間に当てていた。 「そろそろ、彼氏がやってくるんじゃない?」 「えっ?」 慌てて時計を見ると、既に17時を回っていた。 「本当だ。今日はこれくらいにしようかな。」 筆を置き、周りを片付けている時に、真子が来た来たと、ウキウキしていた。 「万紘。終わった?」 「修司。」 修司は、私の彼氏だ。 付き合って、1年になる。 彼は同じ芸大の、彫刻科に通っていた。 いつも17時頃にやってきては、一緒に帰る日々を送っていた。
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