13人が本棚に入れています
本棚に追加
何度も何度も塗り直しても、私の絵は芸術に程遠い。
もっと絵から湧き上がる情熱とか、ため息が出る程のリアリティとか、そんな物がほしい。
そんな私は、授業が終わっても、自分の絵に納得できなくて、放課後も油絵を描く時間に当てていた。
「そろそろ、彼氏がやってくるんじゃない?」
「えっ?」
慌てて時計を見ると、既に17時を回っていた。
「本当だ。今日はこれくらいにしようかな。」
筆を置き、周りを片付けている時に、真子が来た来たと、ウキウキしていた。
「万紘。終わった?」
「修司。」
修司は、私の彼氏だ。
付き合って、1年になる。
彼は同じ芸大の、彫刻科に通っていた。
いつも17時頃にやってきては、一緒に帰る日々を送っていた。
最初のコメントを投稿しよう!