楽しめなくなったプレイヤー

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楽しめなくなったプレイヤー

「ところで」  彼女は先程までの調子からややトーンを落として、何かを伺うように私に目を向ける。 「最近、カイさん見かけました?」  ふと静まり返る空気。  奇妙な沈黙が数拍のあいだ続き、私は彼女の目がまったく逸らされないのを確認して、ゆっくりと顔を俯けた。 「いや見てないし、話も聞かない」  私の答えに、彼女も顔を下に向ける。  どこか寂しそうな色を浮かべるその目は、ぼんやりと温かな湯気をくゆらせる紅茶の水面を見つめているようで、しばらく私はその様子を見守っていた。  沈黙が再び私たちを取り巻く。嫌ではないが居心地の悪い空気に、そろそろ何か言葉をかけてやるべきか思案していると、彼女のほっそりと白い手がティーカップを包み込んだ。 「やっぱりカイさん、辞めちゃったんですかね‥‥?」  私は、即座に答えることが出来なかった。  答える言葉が、何も見つけられなかったのだ。  通い慣れた喫茶店に私は彼女、リンによって呼び出されてやって来た。  彼女は所謂ネットで知り合った友人で、共通の趣味であるゲームをよく遊ぶ間柄だった。     
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