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仲間内でもちょっとした話題によく上がる人物で、私も何度か一緒にゲームを遊んだことがある。
リンは私よりも長く彼と遊んでいたようで、よく彼女は彼とゲームをした感想などを話してくれるので、彼が如何に色んな人から好かれているかよく分かる。
そんなカイが数日前、ネットの日記にゲームを辞めると宣言をした。
突然の公表に、リンや私はひどく驚いたし、周囲の関係者たちも騒然としていた。
何よりも私たちを浮き足立たせるのは、カイがゲームを辞める理由を一切説明していないからだ。
数人の親しい人間が問い合わせたようだが、はっきりとした答えは帰ってきていない。
リンも同様だったらしく、数日はひどく落ち込んでいた。
いや、今も引きずっているのだろう事はこうして会ってみてよく分かる。
どうやらリンは自分に責任を感じているようだ。具体的に何に対して負い目を感じているのか、本人も良く分かっていなかったのだが、それでも彼女は自分のせいでカイが辞めたと思い込んでいるのだ。
考えすぎだと言っても、リンの眉は悩ましげに寄せられたままだった。
私にはどうしてやることも出来ないのだ。こうして話し相手になるくらいしかないのだ。
私はこっそりと溜め息をついて、珈琲カップをテーブルの上に戻した。
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