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「遊佐さんにも申し訳ありません…貴方の大切な堀越君をお預かりしているのに」 丁寧にマスターに頭を下げられて、遊佐は少し苦笑した。 「接客業だし、アルコールを出す店だ、このぐらいは仕方ないと思っている」 本音はともかくとして、だ。 「桔平がやりたいと望むなら、私は見守るしかない……このカクテルの意味を信じて、な」 遊佐は、桔平にグラスを少し掲げて、微笑む。 XYZというカクテルの意味。 それは「永遠に貴方のもの」だ。 桔平は、遊佐の言葉に少し赤面した。 これだけは、カクテルの勉強をしているときに、物凄く印象に残ったので真っ先に覚えていたのだ。 いつか、遊佐に作りたい。 そう思って。 まさか、こんなに早く、しかもこんな場面で作ることになるとは思わなかったけれども。 「それにしても、あの男…どこかで見た気がするな」 遊佐は、低くそう呟いて、何か考え込んでしまった。 そのうちに、常連客がチラホラと現れて、バーの中は賑やかになり始める。 桔平も接客に忙しく、遊佐が一瞬見せた難しい顔に気づくことはなかった。
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