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「バーテンダー?」 崇史は、少しびっくりしたような顔をした。 「って、堀越、酒弱いのにできんのか?」 「え、だって、別に、自分が飲むわけじゃねーし」 作るほうなら、酒強いとか弱いとか関係なくない? 桔平の言い分もまあそうなんだろうけど。 「いや、だって味とかさ…なんか酒好きな人がやる仕事なイメージじゃね?」 「つか、昨日面接行ったら即採用で、今日から早速入ってくれって、もう決まっちゃったし」 桔平はそう言って屈託なく笑う。 うーん、と崇史は唸った。 「それさ、よくお前の同居人が許したな」 「遊佐さん?なんで?」 俺のバイトに遊佐さんの許可必要なくね? 一応話はしたけど。 「なんでって……夜、仕事すんだろ?」 「コンビニも夜だったし」 「だってさあ、酒飲むとこだろ?」 「飲食系だったらどこも夜は酒飲むじゃん?」 そうなんだろうけど。 崇史は、最近急速に脱・平凡しつつある友人のことが、本気で心配になってきた。 これまで物凄く平凡で周囲に埋没しまくってた桔平は、自分が結構目立つ存在になりつつあることを全く自覚していない。 「まあ、恋人がどーこー言わねえなら、俺が言っても仕方ねえんだろうけどさ」 結局、彼はそう言って口を閉じた。 桔平はどこか楽しそうに、バイトに慣れたら、桜田も高原さんと一緒に飲みに来いよ、なんて呑気に言っている。 その高原に頼んで、変な店じゃないかどうかだけちゃんと調べて貰おう…と思う崇史なのだった。
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