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家に帰ったときに、久坂さんが「おかえり」と笑ってくれたら、俺はそれだけで生きていけるのに。
それでも踏み込めないのにはいくつか理由がある。
俺が並み以下の営業マンであり、親しい女友達から「七里ってありきたりな顔だよね」なんて笑われるような平凡な外見だから。
大事な取引先の社員である彼女を邪な目で見ていることが知れたら、文具屋営業失格だから。
そして何より久坂さん自身が、俺なんかとは釣り合わない程に可愛らしいからだ。
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