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第三章
「あー、ほんとに何もなく終わってよかった」
当然のごとく祀り神様はあたしの部屋で横になった。
自分の部屋に行け。もうほとんどあたしの部屋にいるよねこいつ。
「それは同感だけど、床に寝そべるんじゃないの。勝手にコタツも潜り込むな」
「じゃ、膝枕してくれる?」
何をどうしたら「じゃあ」になるの?
「しない。まったくもう、あんまりうるさいからバレンタイン用に用意しといてあげたの先に渡すわ。はい」
大きな包みを出す。
ぱっと九郎の顔が輝いた。
「何これチョコ?!」
「違う」
「違うの?!」
そう言いつつ嬉々としてラッピングをはがす。中から出てきたのは猫ちぐら。
「……………………………………。……俺、ペットじゃないんだけど……」
「ちょうど蛇の姿ならジャストサイズでしょ? あ、なに、入り口九つあったほうがよかった? 頭出せるように」
「胴体は一つなんだからつっかかるよ。ていうか親父に使った作戦思い出すな……。え、俺首切られんの?」
「切らないわよ。ほら、せっかくあげたんだから入りなさい」
「ええー……。あ、思ったよりあったかくて居心地いかも?」
意外と気にいったようで、とぐろ巻いて寛ぎ始めた。
ん。これでベッド占領されないし、大蛇の姿になって部屋キッツキツになるのも回避できた。省スペースな特定の場所を作るに限ると思ったのよ。
え、バレンタインにあげるものは何もチョコに限らないでしょ?
これにて万事解決。
あたしもコタツにもぐり、傍に積んである漫画に手を伸ばした。
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