蛇神様のお嫁様13 ～昔々あるところに、猫ちぐらがお気にな蛇神様がいましたとさ～

第二章

　他にはどんな鳥がいるかって？　雪華さんに知り合い呼びかけてもらったんだけど……鳩、鴉、ウグイス、鶏、烏骨鶏、スズメ、雉、オナガ、鷲、鷹とか日本の鳥にとどまらず、ダチョウ、カカポ、オウム、九官鳥、インコ、ハチドリ、孔雀、フラミンゴ、ハシビロコウ、ドードー、モア……。
　一部おかしいのいない？
　思わずツッコんだら、「どこぞの駄犬もあれ絶滅したニホンオオカミですわよ」と言われた。そういえばそうだった。外国の鳥も妖っていうか別次元の生物になるんだね。
　そのうち恐竜連れて来るんじゃなかろうな。あれ鳥の祖先なんでしょ？　リアルジ〇ラシックパ〇ク。
　あたしはマイク持って説明した。
「……というわけで、参加者の皆さんご自身に豆まきしてもらおうと思います。日頃溜まっているストレスや忘れたい嫌なことを吐き出しながらビニールシートに向かって投げてください。これは他の人にぶつからないようにするためです。必ず地面に向かって投げてください。手持ちの豆がなくなりましたら終了です。皆さん同じ福ものをお渡ししますので、お受け取りになりましたら順次お帰り下さい」
　事前にポスターやSNSで通知していたにも関わらず、不満そうな人が何人かいるな。
　父さんの実家みたいなのを期待してて、タダだしもらえるだけもらって帰ろうと欲出しまくってたのがありありと分かる。
「より多く手に入れた者が偉い、または勝者であるというのは豆まきの主旨ではありません。トラブルが頻発していたのをご記憶ではないでしょうか？　当神社では本来の意味に沿い、自らの心から悪いものを取り払い、浄化することを目的としたいと思います。皆さんが楽しく行えるよう、ご協力をお願いいたします」
　あたしは深々と頭を下げた。
　低姿勢で「お願い」スタンスを崩さないこと。長年いじめを受けていたあたしなりの処世術だ。
「トラブル回避のため、また本来の意味に則り、皆さんが楽しい気持ちで終えられるように全員に一律で同じものをお渡ししますこと、どうかご理解いただけますか？」
　あたしには負の心を落ち着けて正常状態に戻す力があるという。まだまだ意図して使うことはできていないが、効きますようにと願って言った。
　効果があったようで、不満げだった人々から悪意が消えていく。何ももらえないよりはいいか、って気持ちもあるだろうしね。