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そうしますと、この日常に不必要なものはなんでしょう?あなたはわかりますか? それは『家族』です。少なからずここまで私が生きてこられたのは愛すべき両親と優しい兄弟たちのおかげです。しかし考えてみると、どれだけ愛していてもこの日常に必要ではないのです。本来あるべき姿である家族との素敵な日々。朝のおはようと夜のおやすみのキス、夏の星祭りのときに食べる黒ヤギのチーズ、クリスマス・イヴの家族全員でのお祈り。 この日常に、私は居ませんでした。 居ないのです。 しかしどう考えても私が必要とされてないとは考えたくありませんでした。神さまに愛されてこの世に産み落とされた私が、必要とされてないなんてことが有り得るでしょうか。それならばどうして私がそこに居ないかといいますと、私が彼らを必要としていないからです。
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