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「市販用のカレールーを作る過程で、どうしても一定のロスが発生するのよ。タンクやパイプの中に残ってしまうものとか、型入れの過程で残ってしまうものとか。うちの会社の工場では、そういう部分は洗い流してしまっていたわけ。だけど、単に廃液として流してしまうのではなく、それを何かに再利用出来ないか……そういう意識から今回のプロジェクトがスタートしたの。実は、私はそのプロジェクトリーダーなのよ」
「へえ、まだ若いのに正式な社内プロジェクトのリーダーに抜擢されるなんてすごいじゃない」
少し涼子を見直した。
「有難う。でね、このチョコカレーは、その再利用のプロセスで発生した残滓なのよ。まあ、例えて言えば酒粕みたいなものね。そういうものも捨てないで、活用するわけだから、いたずらグッズとは言え、これはこれで再利用を徹底しているとも言えるのよ」
「じゃ、その肝心な再利用の過程ではどんなものを作るの?」
「ごめん、それは今は言えないの。勘弁して。あと、もう少しでリリースされる筈だから」
涼子は、大げさに両手を合わせて拝む仕草をしてみせた。
それから3週間ほど後。涼子の勤める会社が一つの新製品を発表した。
“タカビーフーズ、新製品発売。
タカビーフーズ(本社:虎ノ門)は、2月16日付で新製品「エアカレー」を発表した。同社製品のカレールーの香りを小分けされた小さな容器に封入したもので、容器を開けるとカレーの香りが立ち上るというもの。価格は一箱20個入り180円。同社によれば、「エアカレー」は「嗅ぐ調味料」シリーズの第一弾として発売するとのこと“
ニュースリリースを見た私は、早速涼子に電話してみた。
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