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しかし、それだと長続きしない。女性は大切にされていると実感したい生き物だから、1度目は何もしないことが秘訣だ。そして、楽しみを先に置いておく方が、自分自身も熟成させた下半身を解放させる高揚感を強く得ることが出来る。それはもうメリットしかない。 初めてエリを脱がせた時、見た目より派手な下着をつけていることに驚いた。 自分を悦ばせるために選んだのかと思い、いたく興奮したのを覚えている。 そこからは、狂った猿のようにエリを抱いた。 しかし、就職を機に同居生活を始めた頃から、少しずつ営みが減っていった。 入社後、程なくしてエリから同期に迫られていると相談を受けた時は、心配こそしたが、それよりエリはやはりモテるし、他人から見れば、エリは「まだイケる」存在なのだと分かり、再び下半身が疼いた。 実際に頻繁に連絡が来ているようで、夜になるとスマホの着信が毎晩鳴り響いていた。 そいつが狙おうとしている女が目の前にいて、日常生活からセックスをする時の仕草まで、その全てを自分は知っているという優越感にも浸れた。 ただ、その男の名前は聞くまでもなかったが、少々気味の悪い奴に思えたので、男に嘘の住所を教えるようにエリへ伝えた。しばらくすると、その男の話をしなくなり、聞くと遠くへ左遷されたらしかった。ちょっとしたスパイスを楽しむには丁度良かったため、少し残念ではあった。しかし、そんな邪推な思いはもちろん表には出さず、あくまでエリの無事を喜ぶ夫を演じた。     
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