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達也は社会福祉法人「ほほえみ」という介護施設に着いた。オレンジを基調とした外観で、シンプルながらも直感的に「ココは良い施設だな」と思わせる建物だった。自分が要介護になったら、こんな所に入りたいと思った。門の前に立ち、インターホンを押す。 「はい」 「私、株式会社アキュラーの平城山と申します。先日、ご依頼いただきました浄水器の件で訪問させて頂きました」 「お待ちしておりました、どうぞ」 オートロックがカシャンと音を立てる。 中へ入ると、外観からの期待値を裏切らない暖色を基調とした綺麗な内装で、掃除も行き届いていた。どこからかいい香りがする。一体何の香りだろうと鼻をクンクンとさせていると、先ほどのインターホンの主が現れた。 「こんにちは。いつもお世話になっております。こちらのスリッパで、おあがり下さい」 40代くらいのふくよかな女性だった。柔らかい笑顔が特徴的で、ゆったりとした雰囲気の持ち主だった。名札には「福増」と書いてある。なんとも有難い名前だ。 「こちらこそお世話になっております。平城山と申します。失礼いたします」 「こちらの応接室へどうぞ。……担当の職員を呼んで来ますね」     
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