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昼食を食べてから来てくれという心遣いだろう…なんて気遣いのできる子なのか…
そんなん一緒に食べたらいいじゃないか!
対策なんてゆっくり練っている暇などない。
移動しながら対応をイメージしつつ、早急に向かわなくてはならない、俺のチョコのために!
指定された部屋は、先程出たばかりの科学室だった。
やはり彼女だ、俺の記憶に間違いはないらしい。
あ、逆にあっちが俺を指定したの間違いだったとか…
「来てくれてありがとう」
俺だ! 間違いなく俺だ! 俺だよ!
「あんまり話したことはないし、迷惑かなって思ったんだけど…」
フハハハ! 想定通り!
そしてここで俺はさも何でもないことのように…
「そそそそんなことは」
はい!無理ー!
イメージでは爽やかかつ少しはにかみながら言うつもりだったが、なにぶん経験値が圧倒的に不足している。
妄想やゲームでは何度もやってきたが、実際自分がやるとなると話が違う。
頭の冷静に対処分析しようとする部分と興奮沸騰した部分で頭が急回転して混沌と化している。
「下手だって笑われちゃうかも知れないケド、一所懸命心を込めたの」
そういって大きくて薄めの箱を俺の前に差し出した。
間違いなく、俺に! 俺に!
「あ、ありがとう! マジ嬉しい!」
嬉しそうに頬を染めた彼女が可愛く見えた。
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