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次は相馬くんの番だと、舞台の上で丁寧にお辞儀をして、下がる。
正装した相馬くんがバイオリンを持って出入り口にいた。
タキシードに蝶ネクタイ姿がかっこよすぎて見惚れてしまう。
そんなわたしに気づき、相馬くんは近づき、わたしの耳元で囁いた。
『演奏、良かったよ』
わたしに優しく笑みを浮かべ、そしてすぐに、真剣な表情に戻り、舞台の中央に行き、バイオリンを奏で出した。
曲は…、
パガニーニの「24の奇想曲第24曲」
タルティーニの「悪魔のトリル」
まさかの超難関曲にしびれた。
音楽を知らない生徒達さえ、どよめいた。
相馬くん、小学生の時よりもかなり上達してる。
元々プロ並みだったけど、今は世界に通用するバイオリン演奏者だ。
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