第4章 君と笑顔の花を咲かせたくて

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 そこに、ドアがスゥっと開いて真央さんと尊美さんが入ってきた。この時やっと、俺は個室にいることに気付いた。 「気分はどお?」  真央さんは年齢の割に澄んだ声で、俺に聞いた。 「ちょっと辛そうなので、もう少し寝かせてあげた方が良いかもしれない」  俺の代わりに、恵鈴が的確な説明をする。朦朧としつつも、いつもの俺達に戻れたような嬉しさを感じていると。  また病室のドアが開いて、今度は両親が部屋に入ってきたのを見たら、俺はつい起き上がってしまった。 「ようちゃん?!」 「燿馬!」  血相変えて駆けつけるとはまさにこれだ。二人とも、笑顔で挨拶をする余裕もなさそうにベッド脇まで駆けこんできて、俺を覗き込んでいる。 「……パパ、ママ。ごめんなさい!」 「恵鈴……」  おふくろは、恵鈴の顔をじっと見てからすぐに俺に顔を向けた。 「ようちゃん。恵鈴が飛んできてくれたわね。良かったじゃないの」  そう言って、急に嬉しそうに微笑んだ。その顔を見たら、俺の胸に津波みたいな温かい気持ちが押し寄せてきて、急に泣きたい気持ちになった。 「よく頑張ったわね。ふたりとも」  おふくろが俺と恵鈴の手を掴んで、結びつけてくれる。 「……離れてみて初めて気付いたこと、沢山あったでしょ?」  涙声でそんな風に言われたら、簡単に決壊しちまう。皆が見ているのに、俺はガラにもなく嗚咽を上げて泣きたくなった。恵鈴も同じ気持ちなのか、小さな頃に還ったように「ママ」と言って、すがりつくように泣き出した。
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