第4章 君と笑顔の花を咲かせたくて

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 いくつかの検査をうけて、健康であることが証明された。切り傷は消毒と縫合テープで固定されて、おふくろの不思議な力で痛みはだいぶと和らいだ。  知らない間に腰にも裂傷ができていて、俺は何度か転んだらしい。やばい。覚えてない。  みんな、気を使ってくれたみたいで。俺が落ち着いたタイミングで、恵鈴だけが残った。 「大丈夫?」 「全然だめ、だいじょばない」  不自然なほど距離を置いたまま、俺たちは互いの腹を探り合うように見詰め合う。  なんで黙って消えたりなんかしたんだよ?  どうして失明するかもしれないと、話してくれなかったんだよ?!  そんなに、頼りないのか?  そう言いたい気持ちをぐっと抑えていると、恵鈴が震える声で話し始めた。 「心配かけてごめん。心配させまいと思ってたのに、返って沢山心配かけることになって、本当に、本当に、ごめんなさい……」  わざとらしいぐらい頭を下げ、謝る恵鈴の頭を見下ろしながら、情けなくなった俺は。下唇をぐっと噛んだ。  泣くな。……そう、自分を鼓舞する。 「やめろよな」  やっと出した声が、やはり震えていた。  カッコ悪いったらないや。  でも、これが俺だ。 「謝るな。自分で決めた道なんだろ? だったら俺に遠慮なくやりたいようにやれば良いんだ。俺だってな、やりたいことのひとつやふたつあるんだから……」  言いながら、涙がポロリする。 「縛り合う関係なんか、俺だって望んじゃいない。お前は、お前だけのためにわがままに生きていけ。俺も、そうする。人生は1回きりだしな」  恵鈴が立ち上がった。涙でグチャグチャになった顔をしながら、俺のベッドに投げ出すようにして号泣し始めた。  
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