第4章 君と笑顔の花を咲かせたくて

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「もう、しょうがない子ね。それが恵鈴なんだもの。ようちゃんだってよく知ってるわよ」 「これがあるから、お前たちは他の誰かに気持ちが向かわないんだしな。ま、しょうがない」  ママとパパが交互につぶやいた。 「毎回って、なかなか大変なのね」  真央さんがギョッとしている。私は恥ずかしさと情けなさで下唇を噛み締めていた。 「痛み止め飲んでるから、大丈夫よ。きっと」  ママの励まし方はいつもこんな感じだ。なんだか懐かしくて胸がいっぱいになる。 「で、どうする? 皆で病院には泊まれないんだ。恵鈴に任せても平気か?」  パパが私の頭を撫でながら優しく聞いてくれた。 「うん」  三人とも静かに微笑んでから、荷物を持って部屋を出て行った。  今度こそ二人きりになれた。  燿馬の寝顔を改めて良く見ると、頬がこけた気がする。目の下の隈も濃いし、顔色も悪い気しかしない。  私は壊れ物を扱うように、燿馬の右手をそっと握った。骨ばった長い指に頬ずりして目を閉じる。  離れてるときも、傍に寄り添うときも、私の心の中ではいつも勇払の浜辺に咲いた野薔薇が見えていた。  あれは私達の花だよ、そうでしょ? 燿馬。  一緒にいる姿を誰にどんな目でみられようと、荊棘の蔓のようにしっかりと繋がっている私達だから、きっと大丈夫。遠く離れてみてやっとわかったの。 「迷子の燿馬をちゃんと見つけてあげられて、ホッとした。北極星を見つけるより速く、燿馬の居場所がわかるなんて、私達ってやっぱりすごいよね」  静かに眠る顔を眺めながら、考える。これからのことを。
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