第4章 君と笑顔の花を咲かせたくて

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 こんなに完璧なのに、情事が終わればまた私達の魂はふたつに分かれ、それぞれの体と生きる道に鮮やかに別れていく。片時も離れたくないけれど、肉体を持つということは孤独なものなのだ。  切なくてやりきれない。  恋しくて堪らない。  愛しさで溢れる快楽に支配されて、爪の先まであなたが好きで、どうすれば永遠にひとつでいられるだろうかと真剣に考えたくなる。  離れがたい。  もうひとりになどなるものか。  どうしていけないの?  ひとりにならなくちゃいけないの?  細く長いトンネルを光の速度で駆け抜けるような、鋭い快感にぶるぶると震えた。  肺に酸素を取り込もうとして息が弾む。  汗や涙とそれ以外の体液が炭酸みたいに弾け、現実の世界に戻ってきてしまったことを、冷酷に告げる。  やわらかい肌。重なった身体のおもみを抱きしめた。まだ、ここにいたい。私の中にいてほしい。離れたくないという願いを叶えられるだけ叶えてよ。  耀馬はじっとしながら冷めていく身体を私に預けたまま、苦しそうに息をし続けていた。 「……おかえり、恵鈴」  枯れた声。とても、愛しそうに囁く声。嬉しくて、首に腕を回してしがみつく。 「ただいま……、耀馬」  脱臼した肩にキスをすると、イテテと情けない声。 「ごめんね」 「いいよ、別に。慣れっこだし」  ぶっきらぼうに、でも少年みたいにはにかんだ顔を向けられて、ギュッと心臓が握りつぶされそうになる。
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