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そんなこと、いきなり言われても全然意味がわかんないよ!
ひとりになった途端に、怒りに似た荒ぶる気持ちが沸き上がってきて、俺は話し相手に飢えた。
俺が悪いみたいじゃないかよ!
俺が恵鈴の才能を潰してたみたいな、そんなことかよ!
息をするのも辛そうな、恵鈴の悲し気な顔を思い出す。俺がいると明るく振舞おうとしたり、料理を頑張ったり、妙にお洒落に励んだりして。
無理をさせていた。
それは、事実だ。
『生き方の問題は、たとえ双子の兄妹でも、恋人でも、親子でも、口出しできないし、肩代わりすることもできないし、そういうものなの。だから、あなたはあなたのことを頑張って。ね? ようちゃん』
電話を切るときのおふくろの台詞は、相変わらずのほほんとした口調で、自分だけは特別みたいな態度に久しぶりに苛立った。
でも、これがおふくろだ。彼女は、俺の機嫌を取らない。ただ、とても自然体で生きている【お手本】なのだ。
自然体で生きる、ということがまだよくわからない俺。
恵鈴がそばにいなくても、俺は俺らしくいられることが大事なのだと諭す両親。
頭ではわかっているのに、心がまだこだわっている。
恵鈴に捨てられた俺は、惨めで寂しくて、つらい。
泣きながら、恵鈴の新しい絵を見上げていたら。少しだけ、恵鈴を感じられる気がして、俺はその絵に頬をくっつけて目を閉じた。あのやわらかい肌の奥から聞こえる鼓動を、感じたくて。恵鈴が恋しくて、会いたくて、会いに行きたくて、どうすればいいのかわからなくなる。
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