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「このキャンプ場って、栗栖湖っていう湖を囲んでるだろ? この栗栖湖って、実は昔は集落だったらしくてな。色んな村の厄介者達が追い払われて、自然とここに住み着いていたらしいんだ。けど、村の奴らはそいつらが生きていること自体が許せなかった。だからある日、細々と暮らしていた彼らに奇襲して、滅多打ちの皆殺しさ。んで、家を全て焼き払って埋めちまったんだと。そしたらその翌日、ものすごい嵐に見舞われた。焼き討ちに参加した村は残らず滅茶苦茶になって、焼き討ちしたこの場所に、いつの間にやら湖ができあがっていた。それがこの栗栖湖なんだ。それ以来、ここは呪われた地として知られ、この場所に足を踏み入れた人間は呪われるっていう伝説が、まことしやかにささやかれてるんだよ」
しんと、辺りが静まり返る。
その時突然、森の方から鳥が羽ばたく音が聞こえ、全員が肩を震わせた。
「あ、あはは! ちょっと、も~。作り話に本気出し過ぎ!」
「え? いや、作り話じゃ──」
「はい! おしゃべりタイムはおしまい! 明日も早いんだからさっさと寝よ」
彼女の一言で、みんな渋々と片づけを始めた。
就寝の準備を終えた者からテントに入っていき、一人また一人と眠っていく。
そんな中、こっそりとテントから抜け出したのは、恋人の二人だった。
二人は近くにある野原へ向かうと、笑いながら地面に転がった。
彼女に覆いかぶさるように、彼氏が倒れ込む。
「早く寝ようって言い出したのは、オレと一緒になりたいからだろ?」
「分かってるなら早く」
二人はそのままキスをした。
普段とは違うシチュエーションに、自然とボルテージが上がっていき、すぐさま二人は服を脱ぎ出す。
上半身裸になった男が、再び彼女と交わろうとした時だった。
「しっ」
突然、彼氏が辺りを警戒するように首を動かし始めた。
「なんか聞こえないか?」
彼女は何も言わない。
しかし彼氏の耳には確かに聞こえた。
グチュグチュと、水気のある何かをほじくるような、生理的嫌悪を覚える音が。
「もしかしたら、あいつにばれたかも。……まあいいか。見られて減るものでもないしな」
彼女は何も言わない。
そこで初めて、彼女の様子がおかしいことに気付いた。
「どうしたんだよ」
彼女は何も言わない。
ただ、口をあんぐりと開けているだけだ。
彼氏が首を傾げていると、彼女の口の端から、一筋の血が垂れた。
「え?」
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