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箱の外へ
翌日の放課後。
当番の掃除を済ませて1人で進路相談室の近くをうろうろしていた。手慰めに相談室の掲示や資料を見ていたけれどそろそろ飽きてきた。進路指導の先生は今日はいないと掲示を見て分かった。もうその情報はいいから早く決着を付けたい。
うろうろするのも疲れて立ち止まった時、廊下の向こうから揚々と歩いてくる男を見かけた。
間違いなく呼んだ相手だ。
彼を睨みながら待ち構える。わたしの眼差しに気付いているのか、いや、気付いてないからか、いつまでもにこにこして気味悪いやつだ。
「ね、どうしたの、今日なんかあったっけ?」
あるんだよそれが。「お分かりの通り」一大イベントが。
「……ちょっと来てくれる」
踏み倒したいのはぐっとこらえ、シンプルに要望だけ伝える。そして彼を少し歩いた先の部室に連れて行く。今日は活動日ではないため誰もいないのを確認して、コートだけ置いてきた。
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