第六話 修羅場

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第六話 修羅場

「ナベさん。ナベさん」  真辺は、山本に起こされた。 「あぁすまん。寝てしまったみたいだ」 「えぇそうですね。それに、なんど見てもびっくりしますよ。本当に器用に寝ますよね」 「特技だからな。なんなら、秘伝だが、お前になら伝授してもいいぞ?」 「遠慮しておきます。俺は、やわからなベッドの上が好きですからね」 「あぁそうだな。隣に愛おしい奥方が居れば尚良だろ」  二人は、お互いを見て笑った。  鉄火場。修羅場。デスマーチ。どんな言われ方をしていても火中にいるのには違いない。しかし、真辺たちは笑う事を忘れない。余裕がない時ほど、”笑え”と言っているのだ。客も最初は不謹慎だと言ったりするが、それでも笑う事を続ける。そうでないと、心が壊れてしまうのを知っているからだ。  真辺たちも、仲間だった者が心を壊して、最悪な選択をするのを何度も見ている。真辺は、同期だけで三人の葬儀に出ている。関連会社や協力会社を入れればもっと多いだろう。     
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