第六話 修羅場

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「うん。山本。機密費。余裕あるよな?」 「えぇ大丈夫です」 「え?機密費?え?森さんとか篠原部長に言わなくていいのですか?」 「あぁ大丈夫だよ。俺から話しておくからよ」 「はい。すみません。お言葉に甘えさせて下さい」 「うん。石川が泊まっているホテルに空きがないか確認して貰って、一緒に行けば迷わないだろう」 「了解。後で、石川に確認しますよ」「たのむ」「ありがとうございます」  食事を終えて、山本が石川に連絡して、山本さんを連れて行った。  真辺達には、会社から支給された経費以外に、真辺が行っている独自の積立がある。急な出張やハードウェアの調達で、緊急に金が必要になる事がある。その時に、会社の承認を待っていると、間に合わない場合が多い。その時の為の隠し金庫だ。隠し金庫というよりも、元々は宴会用の口座だった。最初は、部下たちが真辺と一緒に飲みに行った次の日に、割り勘分を真辺に渡そうとした時に断られて、その金を貯金箱に入れていたのが始まりだ。  昼飯とか小さくはお茶代とか、真辺に奢って貰った人間が自主的に出して積み立てられていて、チームで飲みに行くときに使おうと思っていた。     
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