第七話 別れ

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 真辺はかなり焦っていた。表情には出さないで居るのだが、考えがまとまらない。このくらいの修羅場。何度も、何度も、乗り越えてきたはずだ。そう心に言い聞かせて、何かないか必死に考えている。  ドアが空いて、買い出し部隊が戻ってきた。  真辺は皆を見回して、取り敢えず、飲み物で落ち着く事にした。  買ってきたものは、大量のドーナッツやポテチだ。あと、羊羹やドラヤキもある。なかなか渋いセンスをしている。  甘いものを食べながら、怒りと、同じくらいの焦りを押さえ込もうとしていた。石川が気を効かせて、熱いコーヒーを持ってきた。 「なんだ、コーヒーか」 「今は、これしかありません。紅茶じゃないと納得できなのは知っています。でも、今は飲んでもいいと思いますよ」 「無粋な泥水か・・・まぁ気分的には、こっちのほうが合っていそうだな」  真辺は一口コーヒーを飲んで、渡されたドラヤキを口に運んだ。  もう家の会社とSIerが切られるのは確定だろう。  それだけで済めばいい。最悪は、システム未稼働で賠償問題に発展する可能性さえもある。いや、ほぼそうなるだろう。  最悪なのが、白鳥と副社長が、施設側に10/1でコミットしてしまっている事だ。もし、システムの作り直しなんかになった場合には、今から最低でも半年、普通に考えれば1年位は必要になる。     
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