第七話 別れ

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 その間、施設が運営できない。稼働できない場合の損害補償や従業員への保証。入居者への保証。CMを出している事から、信頼回復にかかる費用なんかを請求されたら、SIerは兎も角、真辺が勤めている会社の様な中堅のシステム会社は飛んでしまう。  不安な顔を見せてはならない。俺は、ここのリーダーだ。  そんな思いから、真辺は無理にでも笑顔を作るようにした。  部下たちには、それが虚勢だという事がすぐに解った。真辺の様子から、事態が最悪な方向に進んでいるのを認識した。  悪い事は重なる。  片桐と連絡がつかないという。 (アイツ。逃げたか?) 「井上。片桐の会社の住所しっているよな?」 「あっはい」 「事務所に待機している人間に、片桐の事務所までいかせてくれ。二人で行くように厳命するのを忘れるな!」 「イエッサー」 「森。どうだ?」 「ダメだ。メーカは、それは出来ないと言っている」 「ナベさん。俺の知り合いに聞いたら、メーカの一部で、貸出サーバの時にハードディスクを耐久年数の保証出来ない劣化版を付けて出す時があるって話しだ。もしかしたら、メーカは、要求スペックは満たすけど、売ったあとでの保守メンテを行う時の耐久年数が満たされない劣化版を出したのかもしれない」  山本が思い出したことを、真辺に告げる。  真辺も経験から解っていたことだ。しかし、なにか突破口があるかもしれない。 「そうか、そうなると、ダメだな」     
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