第一話 火消し部隊

2/13
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
 真辺は、自分は『プログラマ』だと言い張っていて、SE(システムエンジニア)でも、ITプロフェッショナルでもないと言い張る。  会社が名刺の肩書に『SE(システムエンジニア)』と書いたら、その名刺は一枚も使うことなく机の引き出しに放り込んだ。  扱える言語は社内で一番多い。マイナーな言語も使いこなす技量や知識もある。扱える端末の数もずば抜けている。客先での技術的な話から政治的(大人の事情)な話まで行える。名指しで仕事が来る事もある。会社としては、そんな彼の肩書が『プログラマ』では、現場での発言や立場が軽く見られる事を危惧している。実際に何度も肩書の変更をおこなっている。  しかし、彼は彼なりのポリシーがあり、プログラマの肩書を変えるつもりは無いようだ。会社側としては彼が『プログラマ』では、単価が数十万円も違ってきてしまう。会社と真辺の間でとられた、妥協点は、『肩書なし』だ。現在では、それが彼の肩書になっている。肩書なしは、真辺にも会社にも都合がいい。会社は、真辺が居ない所で、SE(システムエンジニア)やITプロフェッショナルなど適当な役職だと言えるからだ。     
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!